コラム

2021.01.14.

木造アパートの音の音漏れ対策で必要なこと(建物仕様編)

木造アパートの音の発生源は外部音と内部音の二つにわかれます。外部音は外からの音、車の音や、雨の音、などが多く、屋根、と外壁、開口部を構成している仕様の性能がそのまま防音性能になります。一方、内部音は生活音が多いです。大きくは界壁といわれる住戸間の壁の性能と、2階建ての場合は1階の天井裏と2階の床仕様の性能が防音性能となります。
>>集合住宅の音の発生源の種類を3種類にわけて説明します

外部の音について(木造アパートの音の音漏れ)

屋根の構成について

住宅に関しても同様ですが木造アパートの屋根仕上に関して、大体の屋根の仕上げは現在は軽い屋根に分類される、コロニアル、カラーベスト、ガルバリウム鋼板などの勾配が比較的緩い軽い屋根のものが採用されています。昔の屋根といえば日本瓦が主流でしたが、今はほとんど見かけません。なぜなら日本瓦や、洋瓦は建築基準法では重い屋根に分類されていしまい、建物の耐震のことを考えると不利に働いていしまうためです。
また軽い屋根に比べ勾配をきつくしなければいけないため、土地にゆとりがあまりない都市部では、高さ制限にかかってしまうため、そのことも影響があるのかもしれません。
さて、防音の性能ということでいうと、実は重い屋根である瓦が一番高性能です。小屋裏に断熱材を敷きこまない場合は、カラーベストのような軽い屋根の場合は雨音がこえます。
少し話は変わりますが鉄筋コンクリートや鉄骨造の場合は、木造と比較すると高層階になりやすいため、屋根の種類の議論はあまりされませんが、木造の集合住宅は3階までがほとんどのため屋根の種類が音に関係してきます。

外壁の構成について

木造アパートの場合の外壁はサイディングといわれる、ガルバリウム鋼板、モルタルの上に塗装が仕上が一般的ですが、実は防音のことを考えるとあまり関係がありません。外壁の仕上げより外壁内部の構成が大事になってきます。あと音は開口部からの伝わりの影響が強いのでアルミサッシの仕様でかなり影響がでてきます。仕様として一番良いのは以下の通りとなります。

二重サッシ>防音サッシ>ペアガラスサッシ≧シングルガラスサッシ

基本的な性能としてはシングルガラスよりもペアガラスのほうが性能がよいですが、ガラスの厚みなどの条件によってはシングルガラスの方が性能が良い音域ががあります。例えば500Hzくらいの音域では、シングルガラスの方がペアガラスよりも性能がよくなってきます。
原因としては例えばペアガラスの板厚構成が3mm+空気層+3mmのような構成の場合、コインシデンス効果といって楽器のタイコのような状況になり、音が反響してしまうからです。
しかし、現在はペアガラスにおいてもガラス構成を選ぶときに防音ガラスや真空ガラスを選ぶことができるので、そちらのガラスを選ぶことでも防音性能を改善することができます。
外部の音も非常に気になるところですが、外部の音が聞こえなすぎるのも問題な気がします。なぜなら外で何か異変が起きた場合に中に聞こえない場合はそれが逆に防犯や災害上問題になってくるからです。ただ。屋外からの音が聞こえるということは、屋内側からの音も聞こえるということですので、ちょうど良い音の関係を気づいていきたいところです。
余談ですが防音室を設けたいという方がいらっしゃいますが、これは鉄筋コンクリート造をイメージされる方が多いですが、木造でも十分対応できますので防音室をお考えの方はお気軽にご相談ください。

内部の音について(木造アパートの音の音漏れ)

界壁の仕様

界壁を設ける位置は住戸と住戸を仕切る境界壁となります。また界壁の仕様は建築基準法で決められています。建築基準法で定められているのは遮音性能と防火性能の基準です。遮音性能は建築基準法第30条で以下のように記載されています。振動数に対する透過損失で明示され、透過損失がそれぞれの数値以上になるように定められています。
※透過損失とは入射音に対する透過音のエネルギーの低減量を表す指標であり数値が大きいほど遮音効果が大きいです。

振動数(HZ)透過損失(dB)
12525
50040
2,00050

基本的には振動数は数値が高いほど「高い音」になります。具体的な数値としては以下のようになります。

振動数(HZ)生活の音
100人の低い声
250 冷蔵庫のブーンという唸り声
500主な一般的な人の声、電話の受話器を上げた音
1000 幼児や子供の声
2000ソプラノ歌手の歌声、ファックスの送信音
4000金属音、ガラス割れる音

こちらの基準をあてはめて考えると、例えば隣りの生活音の騒音(500HZ)が60dBであった場合、透過損失が40dBなので隣の室内では20dBになっているということです。20dBは音がしない状況ですので問題のない遮音性能ということになります。

遮音性能の基準は建築基準法で定められていますが、建築の現場では仕様規定が決められていて、その基準に沿って施工をしていきます。(例:鉄筋コンクリートなら厚さが10cm以上のもの)基本的には告示による仕様(建設省告示第1827号)と大臣認定仕様(SOI-〇〇〇〇)となります。大臣認定仕様は各メーカーから出されている仕様となっていて、下地からプラスターボードの厚み貼り方まで決められています。

界壁の一般的な仕様の場合は天井裏までに達せなければいけないので現在の仕様では防音、耐火上配慮された仕様となっています。界壁の仕様は鉄筋コンクリート造や鉄骨造の場合であってもPBで構成されている場合が多いので、木造と比較しても仕様はあまりかわりません。ただし鉄筋コンクリート造の場合でも壁式鉄筋コンクリート造を採用している場合は、界壁の仕様は鉄筋コンクリート造を使用していることがありますので防音性能は、その他の構造と比較してよくなります。
基本的には界壁の壁の構成がそのまま防音性能となってきますが、建物がしっかり施工がされているのであれば、建築基準法で一定の遮音性能が保証されているので、大きな問題にならないかもしれません。
ここまで説明した通り壁の遮音性能は透過損失で評価されます。一般的にはこちらの透過損失を評価する数値を「D値」といいます。例えば壁の仕様のD値がD-50の場合は隣りの音を50dB損失させる仕様ということになります。

また防火性能に関しては準耐火構造が求められていますが、建物が耐火建築物の場合は耐火構造が求められているので注意が必要となります。
界壁を求められている建築用途は共同住宅と長屋となります。似た建築用途である寄宿舎には求められていません。寄宿舎の場合は界壁の代わりに防火上主要な間仕切り壁というものが必要になります。
寮で音が問題になるのは界壁の仕様ではないことも一因かもしれません。

床の仕様(木造アパートの音の音漏れ)

木造で音に配慮する場合は、床の仕様が一番差がつく部分かもしれません。木造の場合は界壁の仕様に関しては基準法である程度の仕様が制定されていますが、上下階の遮音性能に関しては規定されていないからです。
木造の音源でもTVの音や話し声などの空気を伝わる音である空気音より上下階の場合は、足音や落下物の音である床衝撃音が問題になります。
これらの問題を解決するために、吸音材や遮音材を使用することが必要になります。床には遮音マットと吸音材100mm程度は必要な仕様ではないかと思います。また各企業によっては置床等の独自の仕様を利用している場合もあります。
やはり上記の界壁と同じように500HZで40dB程度の透過損失を持つ性能が欲しいのではないかとおもいます。
ちなみに床の性能はL値であらわすことができます、こちらは数字が小さいほど性能が高くなります。「L値」は上階の床の発生音が下階でどれくらいに低減されて聞こえるかといった、発生音と比較しての遮音量である透過損失の考え方ではなく、実際に聞こえてくる音であらわされるためです。

まとめ(木造アパートの音の音漏れ)

木造の場合に音対策として必要となってくるのは床の衝撃音対策が一番必要だと思っています。簡単に評価すると以下の通りです。
床・天井>界壁>外壁≒屋根
もちろん全ての部分で対策ができればよいですが、まずは一番の弱点部分を対策することが必要ではないかと思います。

木造アパートの音漏れ対策に関して一括解説したコラムがありますのでご覧ください。
>>木造アパートの音や音漏れに関する対策などを徹底一括解説

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※木造アパートに音の問題の対策をしたいという方はお問い合わせの際に音問題への対策を行いたい旨をお知らせください。中古アパートなどの既存建物に対する防音工事のみのご相談も受け付けておりますので、気になることがございましたらお気軽にお問い合わせください。

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