コラム

2020.10.19.

木造3階建て共同住宅(木三共)でおさえておきたい「木三共仕様」に関する解説!アパートを建築するなら木造で!

アパートを計画していく上で、事業としての収支計画は大変重要なことになることは当然です。コストを抑えることを検討した時、建築コストダウンはものすごく効果的なものになることでしょう。

アパートの事業性を追求するうえで外せないのが、木造3階建ての共同住宅です。木造3階建て共同住宅は特殊建築物となり通常は「耐火建築物」としての性能が必要となります。しかし、「木三共仕様」という仕様条件をクリアすることで、準耐火建築物として許可がおり、建築コストを大きく抑えることができるのです。

今回のコラムでは、木造3階建て共同住宅を検討する上で、マストでおさえておきたい「木三共仕様」について解説していきます。

木造3階建て共同住宅(木三共)を建築する際に、木三共仕様にするメリットとは?

建築基準法27条により、木造3階建共同住宅は「耐火建築物」としなくてはいけません。しかし、一定の条件を満たすことで、1時間準耐火建築物へ緩和することができます。

この一定の条件が、木三共仕様と呼ばれるものになります。耐火建築物と比較して、1時間準耐火建築物は耐火被覆の仕様が緩和されるため、材料費はもちろんのこと施工費もダウンし、大幅なコストダウンが見込めます。

当然、施工費がダウンするということは、工期も早まるということですので、土地取得の段階から融資を受けている方にとっては、本当に大きなメリットがあると言えます。

木造3階建て共同住宅(木三共)を木三共仕様にするために必要なこと

では、実際にどのような条件を満たすことで木三共仕様となり、1時間準耐火建築物として許可がおりるのでしょうか。間取りを検討する際に、十分に注意しなくてはいけない基準は次の4つあります。

主要構造部を1時間準耐火構造とすること

主要構造部の被覆の仕様等に関することです。主要構造部とは、壁・床・階段・梁・屋根のことになります。耐火建築と1時間準耐火建築では、仕様が変わります。

なお、耐火建築物と準耐火建築物は木造3階建て共同住宅を建築する際に頻出する用語ですので、2つの耐火性能の違いについて興味がある方は理解しておくと計画の打ち合わせの内容をより理解しやすくなるかと思います。

>>木造3階建て共同住宅の準耐火仕様とは?耐火、準耐火の違いなどを解説

避難上有効なバルコニーを設けること

避難上有効なバルコニーとは、サッシの大きさやバルコニーの広さに設けられた特定の基準を満たしたバルコニーのことです。通常のバルコニーとはことなる点を理解しておきましょう。

避難上有効なバルコニーの基準を簡単にまとめると、次の内容になります。

  • バルコニーの床は1時間準耐火構造であること
  • 避難設備(避難ハッチ等)が設けられていること
  • 避難ハッチ等で地上に降りてから、道路に到達するまで幅員90㎝の通路が確保されていること(※幅員90㎝というのは明確には定められていません。特定行政庁により異なる可能性あり)
  • 避難バルコニーに出るための開口部(掃き出し窓or扉)は、有効高さ1.8m以上、幅0.75m以上、開口部下端から床までの高さは0.15m以下

また、このあと紹介しますが、避難上有効なバルコニーについては、緩和条件があることを理解しておきましょう。

>>木造3階建て共同住宅の敷地内通路について、避難上有効なバルコニーや緩和条件を詳しく解説

建物の周囲に幅員3mの通路を設けること

これは、居室の開口部が隣地に向いている面はについて、開口部のある外壁面から道路まで幅員3mの通路を設けるという内容です。この条件は、居室の開口部が道路に面している面に限っては不要であることを理解しておきましょう。

これは、敷地内通路という言葉で表現されることもあります。木造3階建て共同住宅の敷地内通路には緩和条件があります。その内容を理解しておくことで、活用できる土地の面積を増やすことに繋げられる可能性が出てくるので、確認しておくことをおすすめします。

>>木造3階建て共同住宅の敷地内通路について、緩和条件などを解説

3階の住戸の開口部は防火設備であること(※防火地域・準防火地域の場合)

この内容はサッシにおける仕様の基準です。その基準を満たすものを採用する必要があります。これについては、実際に設計を進めていく過程でより具体的になっていく内容で、具体的な製品などを紹介することになるので、ここでは省略します。

以上が木造3階建て共同住宅を木三共仕様にするための、基準となります。実際に設計や施工に関わる立場でない場合には、基準を細かく理解するのは難しいかと思います。

実際に木造3階建て共同住宅を計画している中で、全ての基準をクリアすることが現実的に難しいケースもあります。

また、上記の内容の中で登場した緩和条件について、次項で内容を詳しく解説していきます。

避難上有効なバルコニーを設けることの緩和について

木造3階建て共同住宅を木三共仕様にするための基準の2つめで紹介した、避難上有効なバルコニーの設置については緩和条件があります。次で紹介している2つの緩和条件を満たすことで、この避難上有効なバルコニーを設置しなくても良くなるので、しっかりと理解しておきましょう。

各住戸から地上に通ずる廊下、階段が直接外気に開放されていること

これは廊下と階段の開放性についての条件を示しています。具体的な条件の内容は次の2つです。

  • 階段の踊り場で、2m2以上の開口部を設けること
  • 廊下の手すりから天井までが1m以上開放されていること

この2つを設計条件満たすことが必要となります。この条件を適用する際の注意点として、共用の廊下が内廊下にできないことが挙げられます。

各住戸の廊下、階段に面する窓・扉が防火設備であること。

これは、廊下側や階段側の玄関扉や窓が、防火基準を満たしている仕様のものである必要があります。仕様内容については、計画を依頼している業者と打ち合わせをする過程で決めることとなります。

建物の周囲に幅員3mの通路を設けることに対する緩和について

木造3階建て共同住宅を木三共仕様にするための条件の中で紹介した、敷地内通路に対する緩和条件について解説します。幅員3mの通路を設けるとなると、敷地の形状や広さによっては、設計上かなり厳しい場合が多いです。そこで、活用したいのがここで紹介する緩和条件です。

各住戸に「避難上有効なバルコニー」が設けられていること

バルコニーを設けるのではなく、先ほどもでてきた、避難上有効なバルコニーを設ける必要があります。

各住戸から地上に通ずる廊下・階段その他の通路が直接外気に開放されたものであること

この条件は先ほど解説した、「開放」の条件を満たすことが求められています。繰り返しになりますが、共用部である廊下が外気に触れることになるので、いわゆる「内廊下」と呼ばれる廊下は、実現できない点を理解しておきましょう。

各住戸の敷地内通路に面する開口部は、防火設備が設けられていること

開口部の防火設備の基準です。結局のところ、すべてのサッシは防火基準を満たすサッシにすることが望ましいということになります。この点については、設計が進む中で決めていくこととなります。

上下階の開口部との間に、延焼を防ぐ庇が設けられていること

この延焼防止のための庇は、ある階の開口部とその開口部の上下階の開口部の間(=距離)が2m以上隔離されていれば、不要となります。そのため、建築の立面図などを見て、サッシの高さや、位置を設計上確認することが必要です。

以上4つの基準をクリアすることで、建物周囲に幅員3mの通路を設けるという、かなり厳しい基準を緩和することが可能になります。

これまでの内容で複雑な点は、敷地内に3mの通路を設ける基準を緩和するために、避難上有効なバルコニーを設置しなくてはならないという点です。この場合には避難上有効なバルコニーに対する緩和は適用されないので、建築設計の専門的な知識と敷地条件をもとに木三共仕様にする上で検討が必要な部分です。

木造3階建て共同住宅を建築する際のまとめ

他のコラムで書いてある通り、木造アパートは鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べ、明らかにコストパフォーマンスや工期のメリットが高い選択肢です。

その中でも、木造3階建て共同住宅という選択は、投資メリットが高くなると言えるでしょう。さらに、今回ご紹介した「木三共仕様」という基準を理解し、設計することで、耐火建築物を1時間準耐火建築物とすることができ、建築費や建築工期において大きな恩恵をうけることができます。

一般住宅を専門に建築や設計をしている会社では、このようなことに詳しくない設計士や営業担当者が多いようです。私たちモクゾウアパートビルダーズは木造アパートを建築するプロ集団ですので、このような専門的な知識やノウハウを活用する必要がある木造3階建て共同住宅の木三共仕様にも精通しております。

アパート投資をする土地をすでに所有されている場合は、検討段階からご相談いただければ、建築可能な建物規模を理解するためのボリューム図面から概算見積まで無料でご対応いたします。

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